誤差関数 Erf(x) と正規分布

目次

誤差関数

誤差関数 \( \text{Erf} \; (x) \) は次の積分で定義されます [4]:
\[ \displaystyle \text{Erf} \; (x) = \dfrac{2}{\sqrt{\pi}} \int_0^{x} \; e^{-t^2} \; dt \] プログラミング言語を使えば、簡単に \( \text{Erf} \; (x) \) の計算プログラムを作成できます。
以下に、Googleスプレッドシートを使用して生成された \( \text{Erf} \; (x) \) の値の表(範囲 \( x \in [-3 \; , \; 3] \) )とそのグラフが表示されています(スクロールが必要な場合があります)。

定義とグラフから、\( \text{Erf} \; (x) \) は奇関数であるため、
\[ \qquad \text{Erf} \; (-x) = -\text{Erf} \; (x) \] という性質がわかります。

正規分布累積関数

正規分布の確率密度関数は、平均 \( \mu \) と標準偏差 \( \sigma \) を持つランダム変数 \( X \) に対して次の式で定義されます [1] [2] [3] [4]
\[ f_{X}(x) = \dfrac{1}{\sigma \sqrt{2 \; \pi }} \; e^{-\frac{1}{2} \left(\dfrac{x -\mu}{\sigma} \right)^2 } \qquad (I) \] そのグラフは以下の通りです。

正規分布のグラフ
正規分布の累積分布関数 \( f_{X}(x) \) は次の式で表されます: \[ F_{X}(x,\mu,\sigma) = \int_{-\infty}^{x} f_{X}(t) dt \] この式に \( f_{X}(t) \) を代入すると、 \[ \displaystyle F_{X}(x,\mu,\sigma) = \dfrac{1}{\sigma \sqrt{2 \; \pi }} \int_{-\infty}^{x} \; e^{-\frac{1}{2} \left(\dfrac{t -\mu}{\sigma} \right)^2 } dt \qquad (II) \] この \( F_{X}(x,\mu,\sigma) \) を使って確率を次のように計算できます: \( \qquad P( X \lt x) = F_{X}(x,\mu,\sigma) \) \( \qquad P( b \le X \le a) = F_{X}(a) - F_{X}(b) \)

\( F_{X}(x,\mu,\sigma) \) と \( \text{Erf} \; (x) \) の関係

ここでは、正規分布の累積分布関数 \( F_{X}(x,\mu,\sigma) \) と誤差関数 \( \text{Erf} \; (x) \) との関係を導きます。

まず、変数変換 \( z = \dfrac{t-\mu}{\sigma \sqrt 2} \) を行い、積分式を変形します。最終的に次の式が得られます: \[ \boxed {\displaystyle F_{X}(x,\mu,\sigma) = \dfrac{1}{2 } \left( 1 + \text{Erf} \; \left(\dfrac{x - \mu}{\sigma\sqrt 2}\right) \right)} \] したがって、正規分布の累積分布関数 \( F_{X}(x,\mu,\sigma) \) は誤差関数 \( \text{Erf} (x) \) を使って計算することができます。

参考文献とリンク